約20年越しに『月姫』世界へ堕ちたオタクの感想日記
私が初めて型月作品に触れたのは、実は「MELTY BLOOD」でした。(初代同人版)
当時学生だった私はそれが『月姫』という作品が元ネタということも知らず、
ただ格ゲーとして普通に楽しんでいた覚えがあります。
やがてオタクとして成長していく過程(?)で、『月姫』というノベルゲーの存在を知りました。
元々兄の影響でサウンドノベルにかなり興味があって、色々プレイしていたのでいつかやってみたいなぁとは思うものの、かなり古い作品をプレイする手段がなかなか無く……。
その後も出続けるメルブラの新作だけはちょこちょこ触りつつ、
佐々木少年のコミカライズ版『真月譚 月姫』を少し読んでみたりはした程度。
ブックオフで抜けた巻数を適当にパラパラ読んだ記憶しかないままで。
そのまま時間が経って、『空の境界』や『Fate』を読んできたワケですが。
『月姫リメイク』が2021年8月26日(木)に発売。
そして、2022年8月にFGOにて≪アーキタイプ:アース≫、アルクェイドが実装。
「ヤバい。さすがにネタバレ踏んでしまう」
ということで、このタイミングで、
『月姫 -A piece of blue glass moon-』を購入しました。
・・・え?なんでリメイク発売当時の2021年に買わなかったのかって?
・・・じつはその当時、2021年9月に私の一番心待ちにしていたゲーム、
『ヘンタイプリズン』が発売する予定だったんですよ・・・
結局発売日11月に延期しちゃったけど。
だから、そのタイミングで買うのはさすがにヤバいなぁと。
――閑話休題。
というわけで、初めて月姫作品を知ってから約20年越しに、
月姫本編をプレイすることに。念願ですよ、念願。
ここまで前置きが長くなりましたが、以降プレイ後の感想になります。
もちろんというか、予防線というか。
当然のお話ですが、同人版の『月姫』や『歌月十夜』はやったことがないので、
細かい設定などに関しては基本的に知りません。
リメイク版をプレイした上での個人的な憶測や考えに関して的外れなものが
あるかもしれませんが、その辺りは生暖かい目で、
「コイツ何も知らねーんだな」
と見逃してもらえればと思います。
■演出面のクオリティの高さ ★★★★★
色んなノベルゲーをプレイして来ていますが、
この作品に関しては≪絵を動かすこと≫にかける労力が尋常じゃない。
サウンドノベルゲーは、背景に立ち絵を置き、そこにテキストを上から重ねる様式が
一般的。立ち絵のポーズを変えたりエフェクトを合わせたりして動きを演出することはありますが、実際に動くことはもちろんありません。
月姫は、とにかくカメラを動かしまくります。
人物のアップ、背景のスクロールなどはもちろんとして、
会話の途中で視線が動いてることを意識させるように、人物の下半身部分を映したり、
戦闘での緩急として引き絵から突然凶器(武器)に寄せたりと、
数度テキストを飛ばすだけで瞬く間に情景が移り変わっていきます。
ハッキリ言って、かなり手間です。
一言喋って背景に視点移して、説明が終わったらまた人物に戻して、回想を一瞬入れて、また戻して。
普通、ただ会話してるだけなら立ち絵のポーズ変えるだけでも十分なんですが、
立ったり座ったり、とにかく視点のキャラの動きに合わせてガンガン演出してきます。
戦闘シーンに至っては、これが更に顕著で、戦闘用に用意された立ち絵をアングル内で動かしてこれでもかとアクションさせてきます。
「え?これイベントスチルじゃないの?マジ?」
っとなったヴローヴ戦。よくよく見るともっと恐ろしい美術背景絵の数々があるのですが、それは後述。
もうね、怖い。
これに慣れたら普通のノベルゲーが寂しく感じてしまいそうです。
最近のノベルゲーは進化してきているな~とは感じていましたが、
トップクラスです。頭一つ出てます。
Live2Dの導入で、実際にアニメーションさせている作品も増えつつある中、
❝動く静止画❞の極点を見た気分ですね。
■美術背景の美麗さと膨大なCG量 ★★★★★
建物や風景の書き込みや、用意された量が凄まじいのはもはや言わずもがな。
一番の驚きは、「これこのシーンでしか使われてなくない?」が多いこと。
ヴローヴ戦で、アルクェイドが屋上から地面に叩き割るシーンなんて、
わずかテキスト2行分。
もちろん重要な場面ではあるのだが、こんなCGがポンポン用意されている。
月姫リメイクが出るのが遅いとか言っててごめんなさい。
こんな演出のためのCG全部用意してたらそりゃ遅くなるわ。
脚本以上にゲームの演出に落とし込む作業が苦労してそう。
そして、素材の合わせ技も光るシーンが多い。
例えば、ヴローヴ戦で志貴が戦闘をすぐ傍で眺めていたシーン。
よく見ると、戦闘用の立ち絵を小さくして、建物と瓦礫に合わせているだけ。
こういう素材の使い方がすごく上手い。
このシーンも、カメラを寄せたり引いたりして、戦闘しているアルクェイドたちとの距離感も出ている。
節約できるところはきちんと節約しつつ、リアルな状況描写ができている。
はえー、すっごい。(語彙力の消失)
実は、個人的に疑問に思っていることが一つありまして。
ヴローヴ戦、アルクェイドルートで志貴が岩盤に張り付いて上空から落下するシーン。
アルクェイドの蔦によって岩盤に縫い留められていた志貴のCGが、どこにもない。
無いのである。ギャラリーに。
嘘やろ?あれイベントCGじゃないんか??
力の入れどころが謎すぎる型月くん。どうなってんの。
■アルクェイド√ 月に魅せられた殺人鬼
吸血鬼のお姫様が、1人の殺人鬼に殺されて、恋をした。
高校生の殺人鬼が、1人の吸血鬼を殺して、恋をした。
話の大筋は、漫画版を読んだ際にうっすらと覚えてはいたんですけど、
実際にプレイすると、人間と吸血鬼の抱える異種間の問題が主軸のよくあるお話で、
だからこそこんなに魅かれるんだなって再認識しました。
自分を殺したから志貴を好きになったのか、志貴だったから好きになったのか。
殺したいほど好きになっていたのか、ロアの因子がそうさせていたのか。
よく考えると、2人の恋心がどう動いたのかが結構難しいのですが、
私はやっぱり、奇跡みたいなあの日の出会いで、すでに恋に落ちていた。
ぐらいがロマンチックでいいなぁ、なんて思います。
(まぁそんなロマンチックで終わらせる気がサラサラないのは無論ですけど)
出会って即十七分割を恋と呼んでいいのかどうかは疑問ですが(笑)。
以下、アルク√の好きなシーン3選。
・亡霊のように青く灯る、直死の魔眼がそこにある。
ヴローヴ戦終盤、瓦礫から落下し強襲する志貴。
ぶっちゃけここ真面目に考えて全部デッドエンド喰らいました。
滑走ってなんだよ、落下じゃねぇーか! ってちょっとキレてた。
ヴローヴを殺すために、両脚を失うことを覚悟してるのもかなりぶっ飛んでいるが、
わずか2秒の攻防の濃密さに舌を巻いた。さすがの筆致。
そして、窮地に飛んでくる黒鍵に思わず声が出た。
吸血鬼が街中で暴れてて、協会が・・・シエルたちが何もしてないのはなんでやろ?
って思ってたので、「やっぱおるやんけ~(*'ω'*)」ってニコニコしてました。
あれ、やっぱり俺シエル大好きでは?
シエル√と合わせて、どちらもちゃんと共闘してるシーンはここぐらいなので、各ヒロインとの対比が明確なシーンでもある。
・月の兎は、夜を駆ける。
志貴とシエルの話を盗み聞きしてたら、
自分のことめっちゃ好きな志貴に興奮して宿敵を殺しに行くお姫様。
アルクェイドがめっちゃかわいい屈指の名シーン。
ですが、私はこの前のシエルの反応の方が好きだったりします。
「あんなこと聞いちゃったら、わたしだって同じ行動をとります。
・・・うん、羨ましいけど、同じぐらい哀れですね」
ちょっぴり地味なここ好きポイント。
アルクェイド√でも、バッチリ好感度が高いシエル先輩。
普段はアルクェイドのことボロクソ言ってるのに、同じ人を好きになったからこそなのか、必要以上に気持ちが分かってしまうということなのか。・・・いや、だからこそボロクソに言ってる説もあるな('Д')
正直、どうしてここまで遠野志貴の好感度が高いのか、ちょっと謎だったり。
そんな絡みもないよね、アルク√だと。
【あの一言が、千年に航る旅の報いだったと微笑みながら】
この一文が、コミカライズ版の帯のキャッチコピーだとは知らなかった。
こんな素敵な文章が書ける物書きになりたい人生だった。
・――たとえ殺してでも、止めたかった。
彼女を幸せにすると誓った少年は、自らを嘘つきだと罵った。
もはや説明不要。
セリフじゃなくて、モノローグに殺されかけるとは思わなかったシーン。
何気にここが一番感情にぶっ刺さりました。
殺人鬼だからこそできる文章表現。
ここにどれほどの愛情が込められていることか。
夕焼けの差す教室で約束を果たせたことが、
十分な幸福だったのだと笑うアルクェイドは一生忘れられませんね。
2人一緒に歩むエンドが見たい気持ちはもちろんありますが、
なんか、ここまで幸せそうに笑って消えられると、無粋かなって思っちゃう。
シエル√もまだプレイしてないのに、もうこれで完結でいいじゃんって本気で思ってました。ごめんシエル。でもやっぱアルクかわいいんだわ。
■アルク√の総括
永遠を生きる吸血鬼が、2週間という刹那のような日々に恋焦がれ、消えていく。
切ないにもほどがある。
なんにもなかった少年が、明日を生きる約束を胸に顔を上げる。
ポエミーな感じになるけど、
《非日常を通して日常を強く生きていくEND》、好きなんですよねぇ・・・。
何よりもヴローヴ戦のドレスが狂おしいほどに好き。
あと20着ぐらい着替え用意して欲しい。
そのうちメルブラに衣装チェンジスタイルとか追加されたら、俺が死ぬ。
話が逸れましたが、充実したお話でした。
正直遠野家の話とかほかの吸血鬼の話とかもうどうでもいいなってぐらい綺麗に完結してしまって、「え? ここからが本番? マジで?」ってなってる状態でシエル√に突入したので、その模様は下に記述します。
人間性を失い続ける男の感情駄々洩れ日記の続きをどうぞ。
■シエル√の前に分岐の話
シエルルート・・・はいれましぇん!( ;∀;)
冗談抜きで割と苦労してしまった。
いやわかるんだ、分かるんだよ?
絶対アルクェイドをサイコロステーキにしたときの選択肢が分岐なんだろうなってのはなんとなくわかるんだよ。でも選べねえんだ(笑)
ってことで結局最初からやり直してひたすらシエル先輩を探し続ける旅に出ました。
多分一定数似たようなことしてると思うんですよ。
なんだったらそっから間違ってアルク√に入ってしまって「あっれぇ~~~???」ってなったのも俺だけじゃないはず。はず。多分。居る。居ろ。
先にアルクルートのOP流すヤツが悪いと思う。
ルート間違えたっけ?ってなるだろあんなの。
おかしいなぁ・・・って思いながら、セーブ画面見てようやく、
「そういえば、この時点でまだアルクルートって書いてないぞ・・・」
って気づいて、デパートの選択肢が最終分岐なのに気づいたとさ。
この間大体1時間弱ぐらい迷走しました。何気にここが一番疲れたまである。
■シエル√ 少女には罰を。吸血鬼には断罪を。
アルクェイドに関してはオタクとして生きてきた日々の中で、ちょっとずつどういう存在なのかは何となく知ってはいましたが、シエルは全くの未知。
なんか代行者っていうめっちゃ強い人、ぐらいしか知らなかったので、このルートで出てくる情報のほとんどが衝撃的でした。
◆元ロアの転生体
そもそもロアの設定からして、今作をプレイするまでほとんど理解してなかったのですが、フランス事変やら審問と言う名の人体実験やらの話が重すぎてツライ。
魔術知識の高さはそこに裏付けされていたのかと、かなり納得したと同時に・・・。
マジでよく精神壊れなかったな・・・。
死にたくても死ねないなら、殺した分だけ救わなきゃ・・・って、1人で背負うにはあまりにも重すぎる。
同じ転生体である志貴に対して、演技とはいえ学校生活を送りながら、無意識に色々思うところがあったのではないだろうか、と・・・。あったらいいなぁ。
◆ノエルという救われない少女のおはなし
恐らく劇中一救われない登場人物。
新キャラとして紹介されたときは、「CV茅野愛衣だヒャホゥ!」って思ってたのに、シエルルートでヘイトの矛先になるわどうしようもない凄惨な過去が出てくるわ・・・この子が一体何をした。
めちゃくちゃ穿った見方をしてしまうと、
シエルの罪を明確に掘り下げるために用意された被害者。
しかもその過去を乗り越えるために朽ち果ててしまう、最も忌むべき存在に成り果てた者。
もうなんか羅列すればするほど悲しくなる要素しかない。
自分の故郷を滅ぼした相手に縋りつくしかなかった協会時代とか、どんな精神状態だったのか察するにあまりある。
ノエルは結構軽めに口にしていたが、「楽して生きたい」という言葉の裏に、これだけの積み重ねがあるのだと思うといたたまれない気持ちになる。
――ただ。
自分より弱い存在を見つけて嚙みついていたぶることを楽しんでいた辺り、やっぱりノエルの心はどこか壊れてしまっていたんだろうなぁと。
というよりは、バケモノに一方的に蹂躙されてしまったことがトラウマになってて、そこに逆らおうとすることの無意味さが理解できないっていう感じなのかもしれない。
「ごめん、なさい」とシエルが謝るシーン。
彼女が抱えていたものを少しだけ吐き出せたと同時に、
もう二度と、その謝罪が届くことは無いんだっていう儚い場面。
謝って済むことじゃないと、自分を責め続けてたシエルに対して、
ノエルなら何て言うのだろうかと、そんなことを考えてみたり。
※メルブラで追加されたifシナリオで若干?ノエルが救われてるので、
よかったら見てみてね。ただしギャグ時空だけど。
以下、シエル√の好きなシーン3選。
・凍土のワルツ
――今から。俺は、死を視るだけの機械になる。
シエル√におけるヴローヴ戦。志貴とシエルの共闘シーン。
もーね。ここの表現が好きなんですよ。
死を視る機械になると宣言する志貴が、吸血鬼に肉薄する場面。
接近する直前は、シエルのことをまだ「先輩」と呼んでいるのに、
志貴目掛けて襲い掛かる槍をシエルがさばいたシーンからは、「女」としか呼ばなくなってるんですよね。
意識を完全に❝殺すこと❞だけに向けた志貴の殺人鬼としての表現。
この後、酸素不足で思考が朦朧となった場面で再び「先輩」呼びに戻ってます。
こういう細かい表現がやっぱり上手い。
戦闘シーンの苛烈さと合わせて、志貴のキャラクター性がより深く描かれてる。
シエルが志貴に合わせている立ち回り、という展開の説得力が増しますね。
そして、1分間の絶頂が始まった。
この言い回しすごく好き。
アルク√のときもそうでしたけど、近距離で殺し合う戦闘の時間経過を明確に言い表していて、少ない手数に濃密な思考が駆け巡っているんだという熱量を感じ取ることができますよね。
冷静に考えて、ナイフが届く間合いで1分間切り合ってるのおかしいからね。
怒りなどでは生ぬるい。
ヴローヴが吸血鬼としての生存本能よりも、騎士としての意思、矜持で矛先を志貴へと向けるシーン。
敵として、高潔さが印象深い場面。
ここに来てただ敵を排除するだけではないヴローヴの一面が垣間見える。
敵は敵なれど、その生い立ちには同じように背負っているものがあるという描写が好きなんですわ。
これを冷静に、シエルに託す志貴の姿がまた尊い。
ヴローヴ戦好きなとこ多すぎ問題。
・……眼鏡は外さない
殺さない、戦わないという意思の表明。
嘘でもいい。演技でもいい。
でも、楽しかったあの日々だけは、本物だったんだと言う志貴。
❝やっと先輩に会えた❞っていう言葉のセンス。
もー何をとっても泣かせに来てるとしか思えない。
「そんな幸せな人を、死なせるなんて、ヤだ――」
シエルの行いは常に贖罪だった。
それが彼女が生きる意味であり、自らの心を救う方法だった。
そんな彼女が志貴を殺すには、自分を恨んでもらうしかない、というのは、なんとも皮肉が効いているというかなんというか。
これで志貴を殺してしまっては、他人の幸せを奪ってしまっては、シエルのこころが壊れてしまう。
脆く簡単に壊れてしまいそうな世界を生きるために先生からもらった眼鏡が、1人の女の子を救ってあげることができたんやなって。
・・・この言い方はさすがに曲解しすぎかもしれないけど。
あ、別に志貴のことを眼鏡呼びしてるわけじゃないからね?(台無し)
・「わたしを置いて、ただの人間に戻っちゃったのよぅ……!」
ロアによる死者を減らそうとしたシエルと、
ロアとなったシエルに対してのみ固執したノエル。
同じ代行者として生きてきた2人が、絶対に交わらなかった理由。
2人が一緒に幸せになる道は、絶対にあり得ない。
だからこそ、人間として誰かを好きになって、好きな人のために戦う覚悟を見せているシエルが、ノエルは絶対に許せない。
ノエルからしてみれば、自分から全てを奪ったバケモノが、人間として幸せそうにしてるとか、マジで吐き気を催すだろうね。
けれどシエルはシエルで、まだ苦しんで藻掻いてる最中で。
かやのんの演技も相まって、切なすぎて涙も乾いたわ……。
■シエル√ ノーマルエンド 夜の虹について
分岐的には、アルクェイドの好感度、という言い方になるけれど、
実質的にはシエルがどこまで対アルク戦を準備できていたか、みたいなところがある分岐点だった気がする。
ロアを処理するために自身事殺すしかなかった志貴と、
そんな志貴の幸福を願ったシエルのお話。
志貴が見上げるシエルが、星の海に眠るようなCGが印象的なエンド。
教えてシエル先生のコーナーで、ビターエンド、みたいなことを言っていたが、
個人的にはビターどころかブラックだ。
話としては理解できるが、互いを想うからこそどちらかを置いて逝ってしまう終わり方は、あまり好きではない。
仕方がない、そうするしか方法がない、という物語の骨組みをぶっ壊してやりたくなる。
ただこのエンドに限っては、志貴が予想通り協会に入りシエルのために生きていくことになるわけだが。
……結局、贖罪のために生きてきたシエルと、変わらないよなぁ、これ。
これをビターで良しとするのは、なんか悲しいとすら思う。
悲しい終わり方として綺麗に終わったよね、と言われればそれまでなのだが・・・。
こんなエンドを見せられては、シエルとのハッピーエンドを期待せざるを得ない。
上げて落とす。落ちたのなら、藻掻いて、抗って、這い上がって、希望を掴むだけなのである。
というわけで、このエンドを見終わった深夜に「ふっざけんな!?」と憤っていた男のトゥルーエンド攻略は、このあと2日で終わるのです。
■シエル√ トゥルーエンド 白日の碧について
シエル√に入ってからも、ことあるごとにアルクに擦り寄っていた男、無事余裕のトゥルー√進行開始。
どっちにしろアルクの首切るのは変わらねえんだ、ってちょっと驚きつつ。
さて、ここからが真のヒロイン最終決戦。
遠野志貴は渡さない戦争が勃発。
途中まではロアを始末するorどうにかして志貴を生かしてロアだけを処理するはずだったのに、気が付けばご覧のあり様。いや最初からアルクがおかしかっただけなんだけど。
星の化身の全力。これを人間が相手にするということの無謀さ加減。
生身じゃどう転んでも無理だから、半分吸血鬼化させればいけるだろ、みたいなめちゃくちゃな展開。
でもこういうの好きでしょう?大好きです。
◆『弓』の称号
シエルのセブンの仕様、メルブラでなんとなく知ってはいたけれど、あれそういう風に変形するんだ・・・ってなった弓モード。
いや、見たことないから多分リメイクで追加された武装?
元々設定はあったけど使ってるのは初めてとか、そんな感じだろうか。
ともかく、第七死因、断罪死。
なんかいろいろと仕様変更を呪文のように言っていたが、
ようは対ロア用の設定を、対アルク用に武器の構成から組みなおしたということでOK?:;(∩´﹏`∩);:ワカンナイ
問題なのはその後の射撃までの流れ。
言うまでもなく無理筋って本編でわざわざ語られてるほどの無理筋。
書いてること全部が「いや無理だろそれ」のオンパレード。
でも本気の真祖相手だし、それぐらいしなきゃだよね?っていう謎の説得力で許されるのはこの作品ぐらいだと思う。
当然必中。されど損傷は軽微。マジで言ってる?
これでもかと真祖の強さを誇示しつつも、シエルの奥の手でこれを制圧するという流れは、まるでハリウッド映画……。
カルヴァリア・ガルガリンや、星そのものをぶつければいいよね、とかとんでもねぇ規模の戦闘よりは、この弓を撃つまでの流れが好きな戦闘描写大好きマニアであった。
◆光体アルク攻略戦
光体化したあとの戦闘は、あまりにも規模が違いすぎてもはや『戦闘』ではなく『攻略』になってしまってて、ちょっと面白さの形が変わってきてしまった。
何をどうしようが死ぬ、という現実のふすまに空いた数ミリの穴を探してかいくぐるような、志貴の必死な戦いは、それはそれで面白いんですけれども。
ただ、脳内ロアとの共闘という流れが激熱。
かつての宿敵との共闘は男の子のロマン。
どれだけクソ野郎でも、あの月の姫に魅せられた者同士。
とりあえず死んでもらっちゃ困るからというギブアンドテイクの上で成り立つ薄い関係性が、個人的にはかなり好き。
「元はと言えば全部お前のせいやろがい!」とか、
「お前そんなキャラだったか!?」ってちょっと思わなくもない。
◆ちょっとした疑問
カーナビとなったロアに助けられて、光体アルクを攻略する。
うん、切り札があると。カルヴァリア・ガルガリンに魔力が残ってると。うん。
で、なんでお前がそれ撃てるの?
ここだけわからん('ω')
志貴の体に居ながら、ソラにあるカルヴァリアに、というよりシエルの魔術に干渉して撃ったということになるのかな?
そんなことできんの? できちゃうんですって言われたら、アッハイ、としか言えんが。
シエルの魔術がロアの転生体としての魔術知識が大本だから?
カルヴァリア・ガルガリン自体が、他の祖の原理を用いてるみたいだしできなくはないんだろうなぁとは思いつつ。
しかもアルクェイドにちゃんと効くように、アルクェイドから奪った力、自分自身の魔力を注ぎ込んでるみたいだし。
志貴に対して「私を見ろ!」って言ってるアルクェイドに対して、
「私を見ろ!」って言ってるロアとかもうこれわかんねぇな。厄介しかいねえこの街。
でも、ここまで来て――シエルを救うんだって命を懸けてた場面で――命を懸けてアルクェイドを助けることに関して、即断する志貴が最高に好きです。
◆もう1人の志貴
ハッキリ言おう。正直よくわかってない(断言)。
多分恐らく子供の頃、シキに殺される前の志貴との夢の中での対話。
なんでそれが志貴の生存に関わってくるのか……が、よくわからない。
遠野家で生きる人間としての自分との決別、ということなのか、なんなのか。
郷愁、と言ってはいるが……。
その辺はきっと遠野邸の話が出たら、分かるんじゃないかなぁと思うので、
あまり深く考えないことにした('Д')ワッカンネ。
◆「おはよう、シエル」
目覚めて最初に見る光景が、朝焼けをバックにしたシエルというのが、
ノーマルエンドの対比としてGOOD。もはやGOD。
とにかく「夜」を舞台に駆け回ってきた月姫作品で、夜明け演出はこれ以上ないエンディング演出なんですよ。
しかもシエルが同じように笑ってる。はー……、幸せになれ。
これが、ある意味2人にとっての始まりに過ぎず、むしろこれからも苦難の道が続くであろうエピローグ。
ぶっちゃけると、むしろこっから先が見たいと思う。
代行者として並んで戦う2人がもっと見てえ。書け、書くんだ、きのこ。
いつかどこかで再会するかもしれない月の姫様に、「どうだ、私たちは幸せだぞ」って見せつけてやるその様を書いてくれ。
全てが終わって、シエルに対する好感度が爆上がりした、シエル√トゥルーエンド、これにて完結です。うーん、疲れた!(笑)
でも感想はもうちょっと続くんじゃ。
◆ラブレター
はい、こっからはシエル√なのに自己主張が強すぎるアルクェイドに対するお気持ち表明です。
一向に埋まらないフローチャート。ラストの1シーン。
もうわかんなくて調べたら、アルクェイドの好感度上げまくったら見られるとかで。
えぇ、4日目からやり直しました。クソめんどかった……。
「私を選ばなかった志貴が悪い」と言わんばかりのアルクェイドの主張。
でもアルクェイドが意地を張っていたからこそ、遠野志貴が死なずに済んでいたとか、敵とすら認識していなかったとか……令和のツンデレってここまでするの?
❝さっすが、わたしの殺人鬼・・・!❞
自分のことを全力で殺そうとしてくる姿に惚れてるヤバい女、これがメインヒロインだ。
「好き」という言葉の裏に「殺す」という言葉が隠れている。
とどのつまり。
浮気した男に対する一方的な感情の爆発。
それが唯一の弱点となってしまったのが面白いところ。
抱いたことのない感情(愛情)と、抱いたことのない感情(嫉妬)の板挟みに、
アルクェイドがどんどん壊れていった末の暴走(?)という捉え方が、個人的にはしっくりくる。
どれだけ求めても応えてはもらえなかったから、シエルを痛めつけて志貴に構ってもらおうとした。好きな女子にちょっかいかける男子小学生かよ。
この後のシーンで、志貴がアルクェイドに近寄る際のアルクェイドのセリフ。
全て伏字なのだが、ラブレターのシーンを見ていると、アルクェイドが普通に喋っている。
好感度が高すぎるあまり、感情があふれ出して止まらない演出なのか、ご褒美なのか。
精々2ワード程度なのだが、個人的にはこういう変化が好物なのでめっちゃ興奮した。
少しでも振り向いていれば、と語ってはいるが、振り向く以上に想いが志貴を見つめている演出。シエル√なのにイチャイチャ(生死の境目)しすぎだろお前ら!
全てが終わったあとの、アルクェイドとの和解シーン。
アルクェイドの立ち姿が、アルク√でのヴローヴ戦後と全く同じで。
過程は違うけれど、同じ場所まで来たんだって、胸が熱くなった。
腹抱えて笑うアルクェイドがめっちゃ好き。
この時点でロアが消えてるから、アルクェイドの吸血衝動も解決してる……のかなぁ?
そこはちょっと自信ない。
ルートヒロインであるシエルを差し置いて、すっごい幸せそうにしてる2人が見られたし、やっぱり離れ離れになるけれど、こっちの方が悲しくないのが不思議ですね。
「シエルにあげる」と言って笑っていたアルクェイドは、心の中でどんな思いだったのだろう……。
■最後に
これにて、
『月姫 -A piece of blue glass moon-』
の感想日記、終了でございます。
結局1万字超えちゃった。本編やり直しながら書いたから、
5,6時間か、それ以上かかったかも。
書きながらいろいろ設定も調べたりして理解が深まったので楽しかった。
「教えて!シエル先生!」をコンプリートし、無事次回作の予告も見ることができました。
あー、早く秋葉とイチャイチャしたい。
そしてなにより、さっちんルートが楽しみすぎて仕方がない。
果たして何年先になるかはわからないが、
『月姫 -The other side of red garden-』
の感想日記で、お会いしましょう。
グッバイ!!